NEW誌 創刊物語 (2)

 学習研究社『NEW 教育とマイコン』(『NEW 教育とコンピュータ』と途中改称)は1985年から2007年まで刊行されていた実践活用情報誌です。「NEW誌と時代を振り返る」座談会企画スタートを記念して,創刊当時を振り返ります。

 学習研究社の新雑誌『NEW 教育とマイコン』は,1985年6月号から隔月刊誌としてスタートしました。編集長は貞本勉氏。『学習コンピュータ』で教育コーナーを担当しながら,この分野の専門家たちに協力を仰ぎつつ創刊の準備を進めたようです。
創刊号の目次には,創刊時の企画指導協力者のクレジットが掲載され,新しい雑誌の創刊によせて木田宏氏の文章が掲載されました。

企画指導

芦葉浪久(国立教育研究所図書館長)
井口磯夫(東京都立教育研究所指導主事)
岩佐澄男(東京都東村山市立久米川東小学校校長)*
植村唯邦(兵庫県立兵庫工業高校教諭)
岡田俊一(兵庫県立須磨友が丘高校教諭)
尾形五朗(東京都立川市立柏小学校校長)
後藤忠彦(岐阜大学教授)
堀口秀嗣(東京学芸大学助教授)
山路 進(城北埼玉高校教諭)*
山本米雄(徳島大学助教授)*

(*は創刊号のみ)

 

創刊によせて 新しい教育の波

木田宏(前国立教育研究所所長)

 学研は,これまで教育の諸領域にわたって数々の出版物を刊行し,また教材開発を行って,教育の発展に寄与してきたが,今回,本誌を創刊して,教育情報化の緊急な課題に即応しようとされる。正に時宜をえた,関係者の期待に応える事業であるといえる。

 学研がこれまで努力し,成果をあげてきた領域に視聴覚教育がある。視聴覚教育は,機器を用い,それにふさわしい教材を開発して,文字通り,教師と児童生徒の視覚・聴覚機能を拡大し,情報伝達力を強化して,教育の成果を高めようとするものである。

 ところが,コンピュータの出現によって,情報の伝達力だけでなく,その処理能力が飛躍的に拡大されることになった。すなわち,記憶力,計算力など,頭脳の働きの一面が,これによって飛躍的に拡大し,迅速かつ機能的に行われるようになった。

 この情報処理能力の発達により,すでに科学研究,軍事,生産,運輸,通信,医療等の諸分野に目覚ましい革新が進んでいる。さらに,パソコン,マイコンの普及によって,巨大事業ばかりでなく,市民の日常生活にまでさまざまな変貌が進もうとしている。教育の世界も,その例外ではありえない。

 教師や児童生徒が身近にパソコン,マイコンを使うことになれば教育の内容,方法,あるいは教育の形態やシステムに,大きな変化が生まれてくることになるだろう。記憶や計算は,コンピュータの最も得意とするところであり,それを強いることのみの教育は,変容せざるをえまい。考える意味,行動し,生活できる能力も,新たな意味合いを持つことであろう。

 しかし,そのためには,コンピュータをめぐって,開発し,処理しておかなければならない課題は極めて多い。その意味でも,本誌の活躍が期待されるゆえんである。

 ところで,『NEW』誌が創刊された時代とはどのような時期だったのでしょうか。

 創刊前の1984年は,教育とコンピュータの関連において,とても賑やかな年でした。教育分野では臨時教育審議会が開催され,コンピュータ分野ではMacintoshやIBM PCといったパソコンが登場しました。教育工学分野ではCAIが注目を集めており,日本教育工学会が設立されたのもこの年でした。

 その流れを受けて,1985年は「コンピュータ教育元年」と呼ばれ,国による「教育方法開発特別設備補助」が創設されたこと,「情報化社会に対応する初等中等教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の第一次審議とりまとめが出されるなど,教育とマイコンにとって,大きな波がやって来た年となったのです。

 当時の企画指導協力者であった岡田俊一氏は,同誌休刊となった2007年頃のブログで,創刊当時の様子を次のように振り返っています。

 NEWの創刊は1985年の5月(当初は隔月刊)ですが、実はこの雑誌の創刊について同社は広く教育現場の実践者から雑誌のコンセプトの聞き取りをしていました。編集長が貞本さん副編集長が清水さんではなかったかと思います。確か東京のちゃんこ鍋の座敷で、それまでにない雑誌作りを参画について熱く語りました。

(「学研「NEW教育とコンピュータ」の休刊」(デジの目)  http://okadatoshi.exblog.jp/7715696/ より抜粋)

 『NEW』誌は,教育とコンピュータへの期待が膨らんでいた人々と時代の熱さと,その熱さを結集して冷ますまいと奮闘した人々によって,生み出された媒体でした。ここに教育とコンピュータの可能性を見いだした様々な人々が集い,交流することで,今日この分野を牽引する人々を育て輩出することになったのです。

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